メタ、決算後に10%急落:売上28%成長とフリーキャッシュフロー91%消失のあいだで
メタ、決算後に10%急落:売上28%成長とフリーキャッシュフロー91%消失のあいだで
売上は28%増、なのに株価は10%下落
今回のメタの問題は成長ではなく、支出のスピードでした。
売上は608億ドル、前年比28%増。時価総額1兆4,000億ドルの企業がこの速度で伸びるのは珍しく、市場予想も上回っています。それでも株価は発表直後に10%下げました。こういう見出しが出ると多くの人は何かが壊れたと考えますが、私はむしろこういう瞬間こそ損益計算書を頭から読み直すべきだと思っています。
問題は下の行にありました。1株当たり利益は6.18ドル。ウォール街の予想は7.15ドル前後でした。誤差ではなく、はっきりしたミスです。費用は前年比55%増の420億ドルとなり、そこには法務関連費用と人員削減費用が混ざっています。
最も目立つのは現金です。1年前の同じ四半期に85億ドルを超えていたフリーキャッシュフローが、今回は7億8,400万ドル。9割以上が消えました。減少というより崩落に近い数字です。
さらに会社は今年の設備投資ガイダンスの下限を引き上げ、1,300億〜1,450億ドルというレンジを示しました。次四半期の売上見通しは中央値で625億ドル、市場が期待した630億ドルをわずかに下回りました。
整理するとこうです。売上は猛烈に伸びていて、支出はそれよりさらに速く伸びている。だから問いはひとつに絞られます。この支出は最終的に回収できるのか、それとも消えるだけなのか。
強気論:価格、新しい事業、そして36億人
まずバリュエーションです。10%下落後、メタは予想利益ベースで17〜19倍近辺で取引されています。売上が28%伸びた企業に付く倍率としては低い。アナリストが「ディスロケーション」という言葉を使っていますが、事業の実態と株価がずれているという意味です。強い企業でこのずれが生じるとき、長期投資家が動き始めます。
二つ目は、AI支出の性格が変わりつつある点です。ザッカーバーグは余剰のAI計算能力を企業パートナーに貸し出す構想に言及し、テキサスではブラックロックと大型データセンター契約を発表しました。メタをもはや広告会社としてだけ分類できなくなる地点です。クラウド事業者と同じ高マージン市場に本当に入るなら、計算式そのものが変わります。
三つ目はユーザー基盤です。ファミリー・オブ・アプリ全体の日次アクティブ利用者は36億人、前年比3%増で1億2,000万人が追加されました。AIがレコメンドエンジンを改善し、滞在時間が伸び、広告インプレッションが増え、価格決定力が強まる。このフライホイールはまだ回っていますし、むしろ加速しています。
弱気論:回収の時期を誰も知らない
反対側も正直に見る必要があります。すべてが良いことも、すべてが悪いこともありません。
第一の懸念は支出規模そのものです。1,300億〜1,450億ドル。問題はAIに投資していることではなく、その投資がいつ測定可能な形で戻ってくるのか誰も分からないことです。数年かもしれませんし、永遠に来ないかもしれません。それまでこの資金はキャッシュフローをそのまま削り続けます。
第二はその結果としてのフリーキャッシュフローです。85億ドルから7億8,400万ドル。メタは長らくキャッシュマシンとして扱われてきた企業です。その現金が枯れると、自社株買い、配当、好機での買収まで選択肢が同時に狭まります。設備投資を考えれば予見できた結果ですが、予見できたことと耐えられることは別の話です。
第三はガイダンスです。625億ドル対630億ドル。それ自体は大きなミスではありません。ただ、これほど支出を増やす局面で売上がわずかでも減速の兆しを見せると、市場は「請求書が膨らむまさにその時点で成長がピークを打つのではないか」と疑い始めます。今回の下落の大半は、EPSの数字よりこの疑いから来たと私は見ています。
財務構造を分解すると
株価551ドルは事業の価格ではありません。本当の価格は時価総額1兆4,000億ドルで、負債を足して現金を引いた企業価値は1兆5,000億ドルです。差額の約1,000億ドルが純有利子負債にあたります。昨年のフリーキャッシュフロー410億ドル、純利益680億ドルを踏まえれば、支えられない水準ではありません。絶対額の大きさに驚くのではなく、返せるかどうかを見ればいい。そして今は返せます。
投下資本利益率は5年平均17%、直近1年は約15%です。私はこれを事業の質を測る最良の指標として使っています。9〜10%を超えれば良い事業であり、良い事業にはプレミアムを付ける根拠が生まれます。
引っかかるのは二点です。ひとつは配当。利回りは0.4%と小さく見えますが、金額では年54億ドルが出ていきます。キャッシュフローがゼロに向かう局面で、この資金は借入か手元現金から出すしかありません。正直、今この瞬間にこの配当を続ける意図が私にはよく分かりません。
もうひとつは純利益率です。10年平均32%、5年平均31%、直近1年は30%割れ。費用が55%増えたのだから算数どおりですが、方向が下を向いている事実は記録しておく価値があります。
一方で売上総利益率82%は非常に強い数字です。支出の増加さえ止まれば、追加売上の大半が下まで落ちるという意味であり、そのときの利益回復は市場の想定より速い可能性があります。
私が使う8つのチェック項目では6つ通過、2つ不合格です。落ちたのは5年平均PERと5年平均の株価/フリーキャッシュフロー倍率。ただ、28%成長する企業でこの2つが割高に見えるのは自然なことです。今後3〜5年、15〜20%の成長が続くなら現在の倍率は問題になりません。逆に設備投資がさらに増えれば、キャッシュフロー項目も間もなく不合格に変わります。設備投資はキャッシュフローを即座に削るからです。
10年モデルに入れてみる
ここで会計上の要点をひとつ。設備投資はその年のキャッシュフローを全額直撃します。1,000億ドルのデータセンターを建てれば、キャッシュフローからはその年に1,000億ドルが引かれます。一方、純利益では減価償却を通じて10年、20年、30年に分けて反映されます。だから今回のモデルではフリーキャッシュフローではなく純利益率を軸にしました。この局面では、そちらのほうが事業の実態に近い。
売上成長率は7% / 10% / 14%と置きました。アナリストは今後4〜5年の二桁成長を見ています。26%、19%、16%、12.5%、13%、15%と続き、その後一桁に落ちる絵です。過去10年の年平均は約26%、つまり2年半ごとに倍増を4回繰り返した企業です。同じことがまた起きるか。可能ではあります。確率が高いか。私はそう思いません。私は可能性ではなく確率に値段を付ける側です。
純利益率は29% / 31% / 33%。10年間の平均値であり、後半はこれより高くなると見ています。
10年後のPERは18倍 / 22倍 / 26倍。市場の長期平均は15〜16倍ですが、高い投下資本利益率と残された成長を考えてプレミアムを付けました。
要求リターン9%で回した結果は、下限600ドル、中間925ドル、上限1,530ドルです。現在値551ドルで買った場合、保守的な前提で年9.6%、中間で15.5%、楽観で22%になります。バランスシート効果は含んでいません。
ひとつだけ付け加えます。9%は私が望むリターンではありません。9%が目標なら低コストのインデックスファンドを買ったほうがいい。この数字は「今日時点でこの企業がいくらの価値か」を確認する基準線にすぎず、実際に買うなら安全余裕を別途確保する必要があります。どれだけ上乗せするかは各自の知識と状況次第です。
設備投資をめぐる議論はメタ:設備投資への恐怖の裏に隠れた広告マシンと新クラウド事業で、同じ論点をアマゾン側から見た記事はアマゾンのフリーキャッシュフローはマイナス——なぜ私はこれを危険信号と見ないのかで扱っています。
FAQ
Q: フリーキャッシュフローが9割以上減ったのは危険信号ではないですか?
A: 原因次第です。営業が壊れて減ったなら深刻です。今回は設備投資が原因で、純利益は依然として大きく出ています。ただし、この状態が2〜3年続けば配当と自社株買いの余力は実際に縮みます。私はこれを「危険」ではなく「タイマーが作動中」と読んでいます。
Q: 1,300億〜1,450億ドルの設備投資は負担可能な規模ですか?
A: 物理的には可能です。純有利子負債が約1,000億ドル、純利益が680億ドルあります。本当の問いは負担可能性ではなく回収率です。この資金が投下資本利益率15%以上を維持する資産として戻ってくるなら良い投資ですし、そうでなければ高価な減価償却費の塊になります。
Q: 551ドルは割安ですか?
A: 私の前提では下限シナリオの600ドルよりさらに下にあるので、「余地がある」とは言えます。ただしこれは推奨ではなく計算結果です。売上成長率7%、純利益率29%、10年後PER18倍という前提に同意できないなら答えは変わります。大事なのは私の結論ではなく、自分の前提を数字で書き出す作業のほうです。
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