バリュー vs グロース — バンガード76本ETFが示す金利サイクルの真の影響
バリュー vs グロース — バンガード76本ETFが示す金利サイクルの真の影響
76本のバンガードETFを全てテストした。
$10,000ずつ投入し、1年・5年リターンを比較した。最も驚いたのは、個別のリターン数値ではなかった。同じサイズの企業群、同じ5年間で、スタイル1つの違いで数千ドルもの差が開いたという事実だ。
ミッドキャップ、スモールキャップ、ラージキャップ — どのセグメントでもパターンは同じだった。5年ではバリューが圧倒し、1年ではグロースが逆転した。金利サイクル1つが勝者と敗者を完全に入れ替えたのだ。
ミッドキャップ:バリューが静かに支配した領域
ミッドキャップは大半の投資家が素通りするセグメントだ。大型株ほどの知名度もなく、小型株ほどの投機的魅力もない。しかしリターンは全く退屈ではなかった。
バンガードのミッドキャップETF 7本中、5年リターン1位はVOE(ミッドキャップバリューETF)。$10,000が$17,300に。年平均11.2%のリターンだ。2位はIVOV $16,120、3位はIVO $15,386。上位3本が全てバリューファンドだった。
最下位はVXF(拡張市場ETF)で$12,915。名前は「より広い市場」を含むように聞こえるが、リターンを押し下げるものまで含んでいた。
ところが1年テーブルに切り替えると景色が一変する。5年間5位だったグロースファンドが突然1位に。VOEは$11,966で僅差の2位。1年の差は$100未満、5年の差は$2,400以上。同じ7本のファンドで、切り取る期間次第でストーリーが全く変わる。
スモールキャップ:全セグメント最大の格差が生まれた戦場
スモールキャップにおけるバリューとグロースの格差は、テストした全セグメント中で最も広かった。
5年チャンピオンはVBR(スモールキャップバリューETF)、$10,000 → $16,149。最下位VTWGは$11,215。差額は約$5,000。同じサイズの企業、同じ5年間、スタイルが1つ違うだけだ。
構造的な理由は明確だ。小型企業は大型企業より負債が多い。その多くが変動金利だ。FRBが利上げすれば借入コストが即座に跳ね上がる。バリュー企業は既に利益が出ていたのでそのコストを吸収できた。グロース企業はできなかった。
しかし1年テーブルを見ると、VTWGが5年最下位から3位に躍り出ていた。21.95%のリターン。FRBが利下げシグナルを出した途端、スモールグロースが最速で反応したのだ。
ラージキャップ:VOOもVTIも1位ではなかった
16本のバンガード・ラージキャップETFの中で、5年リターン1位はMGC(メガキャップETF)だった。$10,000 → $19,760。VOOは5位の$19,381、VTIはさらに下の$18,165。
MGCが勝った理由は集中度だ。約185銘柄のみを保有し、Apple、Microsoft、Nvidia、Amazonへの配分が遥かに高い。これらの企業は潤沢な現金を持ち、借入の必要がない。利上げの影響をほとんど受けなかった。
1年テーブルはまたしても反転した。VT(全世界株式ETF)が1位、25.05%リターン。5年間最下位だったファンドが1年レースを制した。
ファクターETF:誰も知らないファンドがVOOに勝った
バンガードには、大半の投資家が聞いたこともないファクターETFが5本ある。モメンタム、バリュー、クオリティといった特性で銘柄を選別するファンドだ。
5年チャンピオンはVFMF(米国マルチファクターETF)、$10,000 → $19,466。VOOの$19,381を上回った。知名度ほぼゼロのファンドが、数百万人が毎月購入するファンドに勝利した。
リターンは知名度に比例しない。最も注目されない場所から最高のパフォーマンスが生まれることがある。
金利サイクルが残した教訓
| セグメント | 5年バリュー1位 | 5年グロース最下位 | 格差 |
|---|---|---|---|
| ミッドキャップ | VOE $17,300 | VXF $12,915 | $4,385 |
| スモールキャップ | VBR $16,149 | VTWG $11,215 | $4,934 |
| ラージキャップ | MGC $19,760 | VT $17,272 | $2,488 |
この5年間はバリューの時代だった。金利が上昇すれば、将来の利益に依存するグロース株が最大の打撃を受け、既にキャッシュフローのあるバリュー株が耐える。
しかし1年テーブルが示す通り、利下げシグナルが出れば最速で反発するのもグロースだ。同じファンド群でも、見る期間を変えれば勝者が入れ替わる。
核心はこれだ。今勝っているスタイルが5年後も勝っている保証はない。金利サイクルは回転し、リーダーシップは交代する。そしてその交代は、速く、激しい。
次の記事
VDE — $10,000を$28,325にしたバンガード5年リターン王者
VDE — $10,000を$28,325にしたバンガード5年リターン王者
バンガード76本ETF中、5年リターン1位はVDE(エネルギーETF)$10,000→$28,325。2位との差$7,000以上。VOOもVTIもトップ5圏外。ただしコロナ安値→原油急騰という10年に一度のセットアップが生んだ結果。
VYMI — VOOとVTIに勝った、誰も知らないバンガード配当ETF
VYMI — VOOとVTIに勝った、誰も知らないバンガード配当ETF
バンガード76本ETF中、5年+1年の両方でトップ5入りした唯一のファンドはVYMI。年平均14.92%で$20,044、1年45.59%。VOO $19,381、VTI $18,165を共に上回った。40カ国1,500銘柄の海外高配当ファンド。
ナスダック-5%、S&P-3% — 1950年以降すべての危機を乗り越えた市場が今送るシグナル
ナスダック-5%、S&P-3% — 1950年以降すべての危機を乗り越えた市場が今送るシグナル
S&P 500は1950年以降、朝鮮戦争、ブラックマンデー、9.11、2008年金融危機、COVIDなどすべての危機後に例外なく回復。現在のナスダック-5%、S&P-3%は歴史的危機に比べ軽微。バフェットも「これは何でもない」と評価。真の恐怖の中で買った投資家が最大リターンを得た。
以前の記事
ドル建て投資で為替リスクは消えるのか? GIFT City投資の為替・税金の現実
ドル建て投資で為替リスクは消えるのか? GIFT City投資の為替・税金の現実
GIFT Cityのドル建て投資でも原資産がルピーベースなら為替リスクは残存。過去10年でルピーは対ドル年3〜4%下落、インド株ルピー12%でもドルベース約8%。真のメリットは往復1〜3%の為替コスト削減。インドの免税は居住国の課税義務をカバーしない。
投資信託 vs AIF vs 直接投資 — GIFT CityのNRI投資手段を徹底比較
投資信託 vs AIF vs 直接投資 — GIFT CityのNRI投資手段を徹底比較
GIFT City内NRI投資手段3種を比較。投資信託(最低500ドル、流動性高、8〜12%リターン)、AIF(最低15万ドル、3〜7年ロックアップ、15〜25%目標)、直接投資(流動性低、上場限定的)。3つともインドキャピタルゲイン税免除。
GIFT City徹底解剖 — インドの免税金融特区がNRI投資を変える理由
GIFT City徹底解剖 — インドの免税金融特区がNRI投資を変える理由
GIFT City(グジャラートIFSC)でNRIが投資する場合、インドのキャピタルゲイン税・証券取引税・配当税が全額免除。ドル建て取引、IFSCA統合規制。2024年時点で登録機関600超、累計取引量1,800億ドル突破。税制優遇は2030年まで有効。