原油3週間で60%急騰、100ドル目前 — イラン危機に出口なし
原油3週間で60%急騰、100ドル目前 — イラン危機に出口なし
WTI原油:3週間前は60ドル台。現在は95ドル。上昇率60%。ブレント原油は110ドルに迫り、USO(原油ETF)は122に到達した。そして減速の兆しは全くない。
「戦争終結」の幻想は36時間で消えた
先週月曜日、トランプ大統領はイランとの紛争が終結に向かっているとのシグナルを発した。市場は即座に反応し、原油は下落、株式市場にはリリーフラリーが走った。
だがその安堵は1日半しか続かなかった。
原油価格はすぐにリバウンドし、以前の高値を超えて新たな水準まで急伸した。このパターンは繰り返されている。ワシントンからポジティブなニュースが出るたびに一時的に下落し、その後また上昇する。市場はもうこのパターンを学習した。
原油に天井がない理由
根本的な問題はシンプルだ。実質的な解決策が存在しない。
トランプ大統領は「イランの油田をこれ以上攻撃しない」と宣言した。理由は明確で、イランの施設を爆撃すれば、イランが近隣のUAEやサウジの施設を報復攻撃し、結局原油価格がさらに高騰するという悪循環に陥るからだ。
しかしイスラエルは独自に動く。米国の自制要請にもかかわらず、夜間もイラン施設への新たな空爆が実施された。一方、ホルムズ海峡ではイラン船舶が人民元建てで中国や日本向けに原油を輸送し、制裁を回避しながら活動資金を得ている。
チャートが示す120ドルへの道
WTIの現在の95ドル水準は、2023年の高値と重なるテクニカルな抵抗線だ。このレベルをブレイクし、サポートに転換すれば、次のターゲットは120ドルとなる。
買い手が原油先物市場に継続的に流入しており、地政学的リスクプレミアムがさらに上乗せされている構図だ。
エネルギー危機が市場全体を揺さぶる
SPYが下方ブレイクアウトを試みている最中に、原油は上方ブレイクアウトを試みている。この2つの動きは同時進行であり、しかも連動している。
原油価格の上昇はインフレ期待を押し上げる。FRBは利下げできなくなる。企業のマージンが圧迫される。消費者心理が悪化する。この悪循環こそが、現在の株式市場にとって最大の課題だ。
市場が真に安定を取り戻すには、原油が先に安定する必要がある。そして原油が安定するには、中東での実質的な行動が必要だ。各国が「協力する」と表明するだけでは不十分であり、一時的なニュースで市場を動かそうとしても持続しない。
海峡が実際に安全確保され、紛争が本当に解決の兆しを見せるまで、原油は上昇を続けるだろう。
エタノールとトウモロコシ:注目すべきサイドプレイ
原油高騰の波及効果として、エタノール市場にも動きが出ている。トウモロコシ先物に注目が集まり始めており、20〜21ドルまでの上昇を見込む声もある。現在の価格水準は比較的安く、エネルギー危機が長引けば恩恵を受ける可能性がある。
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