スペースX IPO ― 史上最大の機会か、それとも史上最大の罠か
スペースX IPO ― 史上最大の機会か、それとも史上最大の罠か
魅力的な物語、しかし値札が重すぎる
報道によれば、スペースXは6月中下旬に1.75〜2兆ドルの評価額でIPOを準備中だという。事実なら史上最大のIPOになる。アナリストは「メタやGoogleを超える機会」と呼んでいる。
私はこの期待を否定しない。会社そのものは衝撃的なほどよくできている。ただ一つの問いが頭から離れない ― 価格は価値と釣り合っているのか。
売上150億ドル、しかし時価総額2兆ドル
スペースXのビジネスは3本柱だ。
- Falcon 9打ち上げ: 2024年に134回打ち上げ。週2回以上。ブースター再利用は20回超の事例もある
- Starlink: 衛星6,000機超、加入者400万人、年間売上80〜90億ドル。打ち上げ事業より大きい
- Starship: 40階建て相当、史上最強のロケット。テスト段階だがNASAが月探査で約40億ドルを確約
推定年間売上は150億ドル。これを2兆ドルの評価額に当てはめると、PSR(株価売上倍率)は約120倍になる。
比較対象が必要だ。
| 項目 | スペースX(IPO想定) | |
|---|---|---|
| 時価総額 | 約2兆ドル | 約4兆ドル |
| 年間売上 | 150億ドル | 4,200億ドル |
| PSR | 約120倍 | 約10倍 |
時価総額2兆ドルで何を買えるかを並べてみる。スペースXは売上150億ドル分、Googleなら2,100億ドル分。14倍の差がある。
核心は一つ。スペースXの売上が今すぐ10倍の1,500億ドルに飛んでも、PSR10倍を当てれば価値は1.5兆ドル。IPO期待評価額よりまだ低い。
「IPO前に買えば安い」という神話
Equity ZenやForge Globalのようなプラットフォームは、一般投資家でも未上場株を買えると宣伝している。スペースXもそのリストにある。良さそうだが、実は罠だ。
- 最低投資額25,000ドルから。一部の取引はさらに高い
- 流動性のロック: IPOや買収などの「流動性イベント」まで資金が拘束される。何年かかるかわからない
- 未上場評価額は既に3,500億ドル。興奮はすでに価格に織り込まれている
- 多くは直接保有ではなくファンド・ビークル経由。手数料と追加リスクがある
「IPO前に買えば安い」ではなく、「IPO前に買えば早く買える」が正確な表現だ。安く買えるかは別の話だ。
では宇宙産業へのエクスポージャーをどうするか
宇宙産業に賭けたいなら、Rocket LabやPlanet Labsといった既に上場している銘柄がある。スペースXではないが、産業エクスポージャーは取れる。
最も正直な結論はこうだ。IPO初日にスペースX株に資金を入れるなら、それは投資ではなく投機だ。ファンダメンタルズではなく興奮に基づく決定だ。両方とも正当な選択だが、自分自身に正直であるべきだ。「遊びで賭ける」と「長期保有する」は完全に違うゲームだ。
IPOの歴史的なパフォーマンスについては20年データの記事も参照してほしい。
FAQ
Q: スペースX IPOはいつ、どの価格で行われる? A: 報道では6月20日前後、目標評価額1.75〜2兆ドルとされる。ただし正式発表はまだない。
Q: 一般投資家もIPO初日に買えるのか? A: 買えるが、機関投資家がより良い価格で先に割当を受ける構造だ。初日の寄り付き価格は既に上昇している可能性が高い。
Q: スペースXの150億ドルの売上はどう構成されているか? A: 主に打ち上げ事業とStarlink。Starlink単独で年80〜90億ドルあり、実質的に打ち上げ事業より大きい。
Q: 未上場株プラットフォームで先に買う方が良いか? A: 良くない。未上場評価額は既に3,500億ドル、流動性は拘束され、最低25,000ドルの参入障壁もある。一般投資家に有利な構造ではない。
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