10倍株は見つけるものではなく生き延びるもの — マイクロン20倍が残した教訓
10倍株は見つけるものではなく生き延びるもの — マイクロン20倍が残した教訓
誰も欲しがらなかったメモリ企業
マイクロンは長い間、投資家がわざわざ避けて通る銘柄でした。
パソコンやスマートフォン、データセンターの中に入るメモリチップを作る会社です。この事業は悪名高いほど上下動が激しい、いわゆる市況産業です。市況が悪化すればメモリ価格は暴落し、マイクロンの利益は消え、株価は叩き潰されます。底値圏でこの銘柄に付いていた形容詞は三つでした。退屈、シクリカル、死に金。
そして、すべてがひっくり返りました。
AIブームがメモリへの切迫した需要を生み出しました。マイクロンが作っている、まさにその製品です。供給が足りなくなり、価格が跳ね、利益が跳ね、株価は垂直に上がりました。叩き売られた底値から数年で最大20倍。1万ドルが20万ドルになる区間です。
ここまではただの気持ちのいい話です。私が本当に話したいのはこの先です。
その利益を取ったのは、ニュースを見て買った人ではなかった
20倍を実際に手にしたのは、マイクロンが毎晩ニュースに出ていた時期に買った人ではありません。
嫌われていたとき、退屈だったとき、安かったときに買い、そして持ち続けた人たちです。私が知るある投資家の取得単価は66ドルでした。その価格が特別だったのは閃きがあったからではなく、市場全体が見捨てた会社を保有し続ける胆力が必要だったからです。
そしてこれはマイクロンだけに落ちた稲妻ではありません。ここ数年に限っても似た例が並びます。
- メタ: 2022年11月、高値から70%以上崩れ、世界中がマーク・ザッカーバーグは正気を失ったと言っていた局面。安値から7倍近くまで戻しました。
- グーグル: AIチャットボットが検索を殺すと誰もが断言していた区間を、ただ持ち続けた人たち。5倍近い結果です。
- インテル: 叩かれて忘れられていたときに買った人が大勝しました。
- スプラウツ・ファーマーズ・マーケット: 20ドル台から180ドルまで。そこから50%下げた今でも、なお4倍です。
共通点は情報の速さではありません。自分が何を持っているかを理解し、それがいくらの価値かを計算し、周囲がパニックのときに手を出さなかった。それだけです。
マルチバガーは見つけるのが難しいのではなく、持ち続けるのが難しい
このテーマで最も強く主張したい一文はこれです。10倍株は発掘の難易度より保有の難易度のほうがはるかに高い。
考えてみてください。ある株が10倍、20倍になる過程で一度も下げないことがあり得るでしょうか。私はそんな銘柄を見たことがありません。上がるには上がるのですが、その途中に必ず胃が縮む区間が挟まります。マイクロンの上昇も滑らかな直線ではありませんでした。背筋が凍る急落が何度も続き、それが普通なのです。
歴史上ほぼすべての大勝銘柄は、どこかで50%以上下げています。しかも一度ではなく何度も。アマゾンはかつて95%以上下げてなお、史上最高のリターン銘柄の一つになりました。チャーリー・マンガーとウォーレン・バフェットも、自分たちの在任中にバークシャー・ハサウェイが50%以上下げたことが何度もあると繰り返し語っています。そして厄介なのは、そういう局面こそ機会が最も良かった時期でもあるという点です。
だから自分に正直に問う必要があります。持っている銘柄が半値になったとき、私はそれに耐えられる人間なのか。正直に言えば、私も毎回自信があるわけではありません。
二つ目の罠のほうが実は多い、2倍で売ってしまう癖
暴落で売ることよりも頻繁に起きる失敗があります。上昇局面で売ることです。
良い会社を買い、株価が2倍になり、ここで利益を確定するのが非常に賢い行動に感じられます。私も長い間、利益確定して破産した人はいない、と言っていました。今はその言葉を信じていません。技術的に間違っているからです。利益を確定した瞬間に、その先にあったはるかに大きな金額を自ら手放していることが実際に多いのです。
だから売る。そしてその銘柄は自分抜きでさらに5倍になる。
この失敗が特に厄介なのは、損失ではなく利益の形で偽装されている点です。口座はプラスで表示され、気分は温かく、自分は上手くやったと感じる。まだ成長している優れた事業を、単に価格が上がったという理由だけで売る。投資で最も高くつく習慣の一つなのに、請求書が届かないので学習が起きません。
古い言い回しがあります。10倍株は見つけるものではなく、生き延びるものだ。難しいのは買いのボタンではなく、複利がゆっくり進む間に手を動かさないことです。
即時報酬に慣れた時代の逆説
私たちは即時的な満足が既定値の社会に生きています。数年、時には10年待って初めて大きなリターンが出るという発想そのものが、多くの人にとって身体的につらい。しかしまさにその難しさゆえに、この機会はまだ残っています。全員にできることなら超過収益は残らないからです。
私の結論は実務的です。次の勝ち銘柄を探す時間の半分を、保有ルールを書き出す時間に振り替えたほうが良い。何を持っているか一文で書けるか、それがいくらの価値か計算したか、半値になったときの売却条件を事前に決めてあるか。この三つが揃っていれば、下落は事件ではなく想定内の出来事になります。
より具体的な話として、マイクロンの適正価値を強気・弱気の2シナリオで計算した記事と、インテルを17ドルで買ったときの逆張りの記録も併せてご覧ください。
FAQ
Q: 10倍株はとにかく売らずに持てばいいのですか。 A: 違います。持ち続ける理由は「大きく上がったから」ではなく「まだ成長していて価格も妥当だから」であるべきです。事業が毀損した、または明らかなバブル価格に入ったなら売るのが正解です。私が反対しているのは売却そのものではなく、値上がりだけを根拠にした売却です。
Q: 50%の下落に耐えられそうにない場合はどうすればいいですか。 A: ポジションサイズを下げるのが答えです。性格を変えるより配分を調整するほうがはるかに現実的です。半値になっても眠れる金額まで落とすと、逆説的にその銘柄をずっと長く持てるようになります。
Q: 今人気の銘柄を買ってはいけませんか。 A: 買っても構いません。ただし全員が知っている物語は、すでに価格に織り込まれています。マイクロンの20倍を作った条件はAI需要そのものではなく、その需要が来る前の価格でした。買ってよいということと、20倍になるということはまったく別の文です。
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