売上は爆発、株価は停滞:エヌビディアの強気論と弱気論を完全整理

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売上は爆発しているのに株価は停滞、株主のジレンマ

今年エヌビディアを保有していたなら、おそらくかなり気を揉んだはずです。事業は文字どおり燃え盛っているのに、株価は以前ほど気持ちよく上がってくれなかったのですから。

この半年でAMD、インテル、マイクロン、サンディスクが次々と史上最高値へ急騰し、数百パーセント上げた銘柄もありました。その間、エヌビディア株主はただ見守り、待つばかり。売上が爆発している会社を持っていたのに、儲けたのは隣の銘柄の投資家だったというわけです。

この構図を見続ける中で最も多く受けた質問はこれです。「エヌビディアはいったいいつまた飛び立つのか」。その答えを探すには、まずこの会社がどうやってここまで来たのかを押さえる必要があります。

デニーズで生まれた会社

エヌビディアは1993年、3人のエンジニアがデニーズに座り「ゲームのグラフィックをもっと良くしよう」と立ち上げた会社です。長い間、彼らはゲーム画面を美しくするチップメーカーでした。

ところが決定的な転機が訪れます。ゲーム用に作ったそのチップが、人工知能を動かすのに完璧にはまったのです。その瞬間、エヌビディアは「ゲーマーの寵児」からAIブーム全体の心臓へと立場を変えました。

数字がその変化をそのまま物語ります。売上は2021年の160億ドルから5年足らずで2,530億ドルへ跳ね上がりました。株価はさらに劇的で、1株10ドル前後から一時236ドルまで上昇し、時価総額は5兆ドルに迫って地球上で最も高価な企業の一つになりました。しばらくの間、エヌビディアはただ勝っていたのではなく、市場そのものの物語でした。

強気論:なぜ今もこの会社に熱狂するのか

私が整理した強気論の柱は三つです。

第一に、AIの構築(ビルドアウト)はまだ始まったばかりです。 アマゾン、グーグル、メタ、マイクロソフトがAIに注ぐ資金は常識を超えた規模です。そして強気派は、私たちがまだ「序盤のイニング」にいると見ています。AIは単純なチャットボットから、仕事全体を自力でこなすいわゆる「エージェント型AI」へ移行中で、これははるかに多くの演算を必要とします。さらに国家単位で独自のAIインフラを築く流れも重なり、チップ需要は増え続けるしかありません。

第二に、競合を周回遅れにし続けます。 多くの企業が数年に一度新製品を出す一方、エヌビディアは絶え間なく新製品を投入します。ブラックウェル(Blackwell)チップはすでに怪物級で、次世代のヴェラ・ルービン(Vera Rubin)はもう一段大きな飛躍になると見込まれます。これだけ速く動くため競合は追いつく暇がなく、おかげでプレミアム価格を付けて利益率を75%超に保っています。ハードウェア企業ではほぼ見られない、ソフトウェア企業にこそふさわしい数字です。

第三に、離れるのが難しいのです。 ここが一番重要です。エヌビディアは一つのチップではなく、システム全体です。開発者は長年CUDAというソフトの上で作業しており、そこから乗り換えるのは会社全体が使う言語を変えるようなもの。誰かが優れたチップを作っても、データセンターでそれらを束ねるには結局エヌビディアのネットワーク機器が必要な場合が多い。両端で勝つ構造なので、顧客が強く縛られます。

まとめると強気論は単純です。膨大な需要、なかなか埋まらない差、簡単には離れられない顧客。この三つが噛み合っているということです。

転換点:ジェンスン・フアンが放ったシグナル

弱気論に移る前に、会社を率いる人物が今年何を語ったかを見る必要があります。ジェンスン・フアンは2026年を通して静かではありませんでした。

彼は今この瞬間を「史上最大のインフラ構築」と呼びました。そしてより刺激的な一言を添えます。「我々はまだ数千億ドルを過ぎたにすぎず、数兆ドルがこれから築かれる」。自社カンファレンスではもっと率直に「需要が放物線を描いて爆発した(gone parabolic)」と表現しました。AIが今や自力で価値ある仕事をこなすので、皆がもっと買おうと殺到している、という論理です。

もちろんCEOが自社に興奮するのは当然です。だから言葉だけを信じるわけにはいきません。この発言を実際の数字で検証する作業は別記事で扱いました。エヌビディアのバリュエーション:今の適正株価はいくらかへ続きます。

反対側:弱気派が懸念する三つ

良い話だけでこの株を買うことはできません。弱気派が指摘する本物のリスクも三つあります。

第一に、大口が支出を絞ったらどうなるか。 今は少数の巨大企業がエヌビディアのチップに莫大な金を使っています。問題はこれです。その金を使う会社は、実際にそれに見合う利益を回収できているのか。いつかは小切手を切る側が投資収益を求めます。それが出なければ支出を絞るでしょう。私は彼らの語り口の変化を注視します。「効率化」「支出の最適化」といった言葉が出始めたら、それは「チップを減らす」という合図です。エヌビディアの物語は、彼らがもっと買ってこそ成り立ちます。

第二に、最良の顧客が自社チップを作り始めています。 ここがひそかに怖い部分です。データセンター売上の約半分が、グーグルやアマゾンといった少数の超大口顧客から出ています。ところがまさにその顧客が、エヌビディアのプレミアム価格を払い続けなくて済むよう、静かに自社チップを開発しています。最大の買い手が同時に競合になろうとしているわけです。その自社チップが十分良くなれば、エヌビディアは売上を失うだけでなく、あの美味しい75%の利益率を付ける力まで失います。

第三に、中国と政府というワイルドカードです。 これはエヌビディアが制御できない領域です。米政府がどのチップを中国に売れるかを決め、その規則が変わり続けます。エヌビディアは数量を中国から他市場へ振り向けて対応してきましたが、突然の全面禁止が出れば一夜にしてかなりの売上が消えかねません。予測そのものが不可能だという点が、それ自体でリスクです。

では今どう見るべきか

私の結論はこうです。事業は疑いようもなく素晴らしく、リスクも同じくらい本物です。そしてこの二つをいくら天秤にかけても、結局この投資が良いか否かを決めるのはただ一つ、「価格対価値」です。

個人的に最も過小評価されているリスクは二つ目、自社シリコンです。市場は今もエヌビディアの独占的な利益率が永遠に続くかのように値を付けますが、最大顧客が将来の競合だという事実は、その前提を静かに蝕みます。逆に最も誇張された恐怖は中国問題だと見ています。悪材料ではありますが、すでにある程度は価格に織り込まれているからです。

エヌビディアは消えません。優れた財務体質と大きな潜在力を持つ会社です。問いはただ一つに絞られます。今の売上・利益の水準は、ここからさらに上がる新たな床なのか、それとも一度の押し目が来るのか。

FAQ

Q: 今エヌビディアを買ってもいいですか? A: 事業の質だけ見れば最上級です。ただ「良い会社」と「良い買値」は別の問題です。私ならまずバリュエーションを計算し、望むリターンに合う買値を決めてから、その価格が来るまで待ちます。

Q: なぜ売上は増えるのに株価は上がらないのですか? A: 株価がすでに将来の爆発的成長をかなり先取りしているからです。好業績でも「期待ほど」でなければ株価は足踏みします。今の局面がまさにそれです。

Q: 顧客が自社チップを作るのは本当に脅威ですか? A: 長期的には最も実質的な脅威だと見ています。売上を失うより怖いのは、プレミアム価格を付ける力、つまり利益率が削られることです。「効率化」や「自社シリコン」という言葉が決算説明で増えていないか注視してください。

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米国大学 Finance & Economics 専攻。証券会社レポートアナリスト。

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